クラブ・メランコリー

小賢しい事を考える頭のオンオフ切り替えができるようになりたいお兄さんのブログ

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ハルジオン

Author:ハルジオン
こないだ22歳になったけどアイコンは「20歳」と表記されたままのお兄さん。

もう永遠の18歳でいいよ。
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    タイトルなし

    2009/03/07(土) 23:21:26

    小説書きました。

    リハビリです。読み苦しい部分が結構あると思います。

    追記からどうぞ。

    ガチ評価希望。




     そこは踏み入れてはならぬ山だと云う。人が入れば、生きて戻ってくることができぬ山だとも云う。
     男はそのようなこと、承知の上で山に入ろうとする。そこが危険な場所であるからこそ、得る物があるのだ。それこそまさしく、人の性。
     故に――
    「何故、あのような危険な場所に」
     そのような問いかけも、無粋でしかない。
     故に――
    「いけませんねぇ。人里には、くれぐれもこの山に立ち入らないようにと念を押しているというのに。それ以上進むのであれば、攻撃せざるを得ないのですが」
     そのような警告も、空気のように聞き流す。

     彼には確かめねばならぬことがあった。
     目の前の少女が何故世を捨て天狗となったのかを。
     ――何故、自分のもとを去ったのかを。
    「……」
     世を捨て、人であることすらも捨てた彼女の姿は大きく変わってしまっている。
     目を引くのは、その黒き翼。まるで、鴉のようではないか。
     膝はおろか腿すらも露出させた、そのように短い袴なんて彼女に似合う服ではない。
     そして、その赤の他人を見るような眼差しを、一刻も早くやめてほしい。
     ――ああ。そなたは変わってしまったのだ。
     男は、キッと眼前の鴉天狗を睨みつけ、銘など無い無骨な太刀を抜くと、正眼に構える。

     少女にはわからないことだらけだった。
     目の前の人間が何故このような視線を向けているのか。
     ――何故、この自分に彼が刀を向けているのか。
    「……」
     自分は鴉だ。気が遠くなるほど長い時間を生きた鴉が化けた鴉天狗だ。
     目の前の人間に見覚えなどない。それにこのような。
    「長年探し続けた恋人をようやく見つけたような眼差し」を向けられる筋合いなどない。
     そして、その正眼に構えた太刀を一刻も早く下げてほしい。
     ――私は貴方を殺したくありません。
     少女は冷静に。男の挙動に対しいつでも対処できるよう、自然体を装いつつも身構える。

    「ッ!」
     大きく開いていた両者の距離を、男は一息で詰める。武芸者として鍛えたその脚力。そして達人の域にまで達した足さばきは、まさに縮地法を用いたのかと思うほどの速度である。
     せめて一撃で。渾身の力を込めて振り上げた太刀を振り下ろす。

     しかし対するは最速の妖怪との異名を持つ鴉天狗。
     達人と言えど人間の出す速度など牛の歩みがごとく。
     男の初動を見てからでも、回避はおろか先んじて攻撃するに十分すぎるほどの時間がある。
     少女は体を大きくひねり、手にした葉団扇を横に薙いだ。
     瞬間、突風が吹き荒れると同時に吹き飛ばされた男の体中を真空刃が切り刻む。
     男は声もなく地面に叩きつけられた。哀れなほどに、その身は赤く染まっている。
     しかし、生きている。先刻となんら変わらぬ覚悟をもった眼差しのまま。ぼろぼろの体で立ち上がる。
    「何故ですか。なぜ立ち上がるんですか」
     ――そのような問いかけも、無粋でしかない。
    「そのまま倒れていれば、見逃して差し上げたのに。本当に、殺しますよ……」
     ――そのような警告も、空気のように聞き流す。

     ――さらばだ。
     今更。ここで何も得ずに見逃されるなどという、形だけの許しなど請わない。
     願わくば、この全身の傷の痛みが回る前にそっと芯を抉り取ってもらいたい。
     そんなことを考えながら、男はなおも山頂への道を進む。
     彼女に、別れを告げるために。
    「ほ、本当に殺しますよ!?」
     ――本望だ。
     ――どうせ先には地獄しかないのだ。いっそのこと、ここで断つのが一縷の情けだろう。
     苛立たしげに葉団扇を振り上げる鴉天狗。振り下ろされれば、次こそ男の命はないだろう。
     余命数秒とない中で、男は詮無き後悔をする。
     ――ああ。ほんの少し、運命をたがえて出会えていたならば。こんな形で向かい合うこともなかっただろうに。
     ふと、紅葉が舞い狂う滝が見える。そのものが化けたかのようにすら見える。
     そんな、人の世では見ることは出来ないような飛沫の中に立つ彼女は、ただひたすらに美しい。
     舞い散る紅葉のように、彼女の傍らに居ることが叶っていれば。どんなに幸せなことだったかと。
     彼女の周りを舞う紅葉が、ひどく羨ましかった。

     ・
     ・
     ・

    「貴方と共にあれぬ世なんて、私には考えられませんでした。
     結ばれることが叶わぬなら、そんな世なんて必要ありませんでした。
     だから私は。世を捨てるため……いえ、現実に耐え切れなくなり、自害をするつもりでした。
     ですがあの日、妖鴉にそそのかされ……命を捨てることなく、この身を鴉にささげてしまいました。
     貴方の姿をもう一度見て、ようやく体を取り戻したというのに……」
     ポツリポツリと、人の身すらも捨てた少女は紅葉の絨毯の上に横たわる男に向かって呟く。
     どこからか、狼の遠吠えが聞こえてくる。千里先にまで届くような、雄々しき雄たけびだ。
     この数年間自分を抑え続けた鴉の声は、今は聞こえない。
     きっとこれからも、聞こえないだろう。
     少女は、最後に最も大切なものを捨てることで自分を取り戻し、彼女は本当の意味で天狗となった。
    「ならば名乗りましょう。私と、貴方の名を取って」
     ――射命丸 文と。
     瞬間、風が吹く。新たな風神の誕生に、自然が祝福してくれているのだろうか。
     風に巻き上げられた紅葉が、男の上にかぶさり、その身を赤く染め、地に埋める。
     哀れ その身 赤く染まりしか。
     哀れ その身 地に埋もれしか。









    <あとがきめいたもの>
    どうだったでしょうか?
    会話文を極限まで減らして書いてみました。
    自分の弱点克服のためですね。
    会話でごまかしたくないので、今回はこんなスタイルでやってみました。
    ガチ評価を希望します。

    参考にしたのは、石鹸屋の「ナイト オブ マウント」です。
    その曲のノベライズと言ってもいいくらいに依存してます。

    ちょいと、設定面で矛盾が生まれたためにその帳尻合わせに手間取りました。
    なんのこともなく、あややの種族ですね。
    炎国を作るにあたって、天狗の定義を「世を捨てた人間」であると設定したので、今回もそれに準拠して書いたところ。
    あとからあややの設定を読むと「元は鴉」であることが明記されていたために、このような形をとりました。
    本来なら、こんなのボツなんでしょうけど。
    書くときにいたドトールで飲んだコーヒーと食べたサンドイッチを無駄にしたくなかったので。

    最後にヒント:紅葉の読み、狼。
    あややは幸せになれたんだよ。
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    小説TB:0CM:1
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    #|2009/03/11(水) 01:38 [ 編集 ]
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